リモートワークが普及した今、自宅で昼寝を取り入れる人が増えています。しかし時間を間違えると逆効果になることをご存じでしょうか。最も効果的な昼寝時間は15〜20分とされており、この短時間の仮眠が午後の集中力を大きく高めます。在宅勤務という環境を活かし、光・音・温度を最適化すれば、職場では得られない質の高い休息が実現します。
本記事では科学的根拠に基づいた昼寝の実践法と、リモートワーク環境を最大限に活用した昼寝環境の整え方を詳しく解説します。
この記事のまとめ
・リモートワーク中の昼寝は15〜20分が最適
・入眠前のコーヒー摂取、座った姿勢の維持、12〜15時の時間帯設定が効果的な昼寝の3つのポイント
・在宅勤務環境を活かして遮光・静音・適温を整えることで、短時間でも質の高い休息が実現できる
リモートワーク中の昼寝は「15〜20分」が最適
在宅勤務が増えた今、仕事の合間に昼寝を取り入れたいですよね。職場と違い、周囲の目を気にせず自分のペースで休憩できるのはリモートワークの大きな利点になるからです。しかし、昼寝の時間を間違えると逆に午後のパフォーマンスを下げてしまいます。最も効果的な昼寝時間は15〜20分とされており、この短時間の仮眠が午後の集中力を大きく高めると言われています。
なぜ20分以上は逆効果なのか?
人間の睡眠は入眠後20分を境に、浅い睡眠から深い睡眠へと移行します。深い睡眠に入ると、目覚めたときに強い眠気と倦怠感に襲われる「睡眠慣性」という現象が起こるとされています※1。この状態では頭がぼんやりして作業効率が落ち、本来の目的である「午後の集中力向上」とは真逆の結果になってしまいます。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、昼間の短時間仮眠は30分以内が推奨されています※2。特に30分を超える昼寝は、夜間の睡眠の質を低下させる場合があります。リモートワークで自由に昼寝できる環境だからこそ、時間管理が重要です。
15〜20分という短い時間なら、深い睡眠に入る前に目覚めることができます。体は休息しながらも、脳は完全に眠りに落ちていないため、すっきりと活動を再開できるでしょう。タイマーを必ずセットし、この時間を守ることが昼寝成功の第一歩です。
短時間仮眠がもたらす効果とは
短時間の仮眠によって脳の疲労を回復させ、認知機能を向上させる休息法は「パワーナップ」と呼ばれています。海外の研究では、短時間の仮眠がパフォーマンス向上に寄与することが報告されています※3。詳しくは下記記事をご覧ください。

この効果は、脳が一時的に情報処理を停止し、短期記憶を整理することで生まれるとされています。午前中に蓄積した情報が整理されると、午後は新しい情報を受け入れやすくなり、判断力や創造性が高まります。特にリモートワークでは会議やメール対応が連続しがちですが、昼寝を挟むことで情報過多の状態をリセットできるでしょう。
最適な時間帯は12時〜15時の間
昼寝に最適な時間帯は、昼食後の12時から15時の間です。この時間帯は体内時計の影響で自然と眠気が強まる「アフタヌーンディップ」と呼ばれる時間帯と重なります※4。人間の体温やホルモン分泌のリズムによって、午後2時前後に集中力が一時的に低下するのは生理的な現象です。
この自然な眠気に逆らって無理に作業を続けるより、短時間の昼寝で脳をリフレッシュさせる方が合理的でしょう。リモートワークなら、会議の合間や作業の区切りを見計らって昼寝時間を確保できます。
ただし15時以降の昼寝は避けるべきです。夕方に近い時間の仮眠は、夜間の入眠を妨げ、睡眠リズム全体を乱す恐れがあります。特に在宅勤務では生活と仕事の境界が曖昧になりがちなため、昼寝の時間帯を明確にルール化しておくことが大切です。12時〜15時という時間枠を守れば、夜の睡眠に影響を与えずに昼寝のメリットを最大限に引き出せます。
リモートワークでの最適な昼寝の実践法
在宅勤務の環境では、昼寝のやり方次第で効果が大きく変わります。職場と違い自由度が高い分、誤った方法で昼寝をすると深く眠りすぎてしまったり、起きられなくなったりするリスクがあります。ここでは科学的根拠に基づいた実践法を紹介します。これらを組み合わせることで、15〜20分の短時間でも確実に脳をリフレッシュできるでしょう。
入眠前にコーヒーを飲む
昼寝の直前にコーヒーを飲むと、目覚めがスムーズになります。カフェインが脳に作用するまでには約20〜30分かかるため、昼寝から目覚める頃にちょうど覚醒効果が現れます。この方法は「コーヒーナップ」と呼ばれ、研究でも効果が示唆されています※5。

カフェインは脳内の睡眠物質「アデノシン」の働きを阻害するとされています。昼寝中にアデノシンの蓄積が一時的にリセットされ、目覚めたタイミングでカフェインが効き始めることで、二重の覚醒効果が得られる仕組みです。
飲むのはコーヒー1杯(約100mg程度のカフェイン)で十分でしょう。リモートワークなら、デスクにコーヒーを用意しておき、昼寝前のルーティンとして習慣化すると効果的です。カフェインが苦手な人は緑茶でも代用できますが、効果はやや弱まります。
横にならず座った姿勢で昼寝する
リモートワークでは自宅にベッドがあるため、つい横になって昼寝したくなります。しかし完全に横になると深い睡眠に入りやすくなり、20分で起きるのが困難になる場合があります。椅子に座ったままか、デスクに伏せる姿勢が理想的です。
座った姿勢では体が完全にリラックスしきらず、浅い睡眠状態を保ちやすくなります。デスクに腕を置いてその上に頭を乗せるか、リクライニングチェアを軽く倒す程度にとどめるのが効果的でしょう。首の負担が気になる場合は、トラベル用のネックピローを使うと快適性が増します。
横になる昼寝は夜の本格的な睡眠と脳が混同しやすく、睡眠慣性が強く出る傾向があるとされています。在宅勤務だからこそ、昼寝と夜間睡眠の境界を明確にする工夫が必要です。姿勢を制限することで、自然と短時間で目覚める体のリズムを作れます。
音に頼らず起きる工夫をする
スマートフォンのアラーム音で無理やり起きると、脳が急激に覚醒を強いられてストレスを感じる場合があります。理想は静かな環境で自然に目覚めることですが、15〜20分という短時間では難しいケースもあるでしょう。そこで有効なのが、振動アラームやスマートウォッチのバイブレーション機能です。
音ではなく触覚刺激で起きると、脳への負担が軽減されます。特にリモートワークでは家族と同居している場合もあり、大きなアラーム音は周囲の迷惑になります。振動なら自分だけが気づけるため、環境を選びません。
リモートワークの環境をフル活用した「究極の昼寝」環境の整え方
リモートワークの最大の利点は、自分専用の空間を昼寝のために最適化できることです。職場では不可能だった光・音・温度のコントロールが、在宅勤務なら自由にできます。環境を整えることで入眠までの時間が短縮され、15〜20分という短時間でも深い休息が得られるでしょう。ここでは、すぐに実践できる環境整備の方法を具体的に紹介します。
遮光カーテンとアイマスクで光を遮断
光は睡眠の質に最も大きな影響を与える要素です。人間の脳は光を感知すると覚醒を促すホルモンを分泌するため、明るい環境では入眠が妨げられます。昼間は太陽光が強いため、室内でも想像以上に明るさが残っています。
遮光カーテンを閉めるだけでも効果はありますが、完全に光を遮断するならアイマスクの併用が効果的です。特にリモートワークのデスク周辺が窓際にある場合、カーテンだけでは光が漏れることがあります。アイマスクなら姿勢を変えずに装着でき、15分程度の短時間昼寝に最適でしょう。
選ぶなら立体構造のアイマスクが推奨されます。目とマスクの間に空間があるタイプは、まぶたへの圧迫感が少なく、不快感で目覚めるリスクを減らせます。在宅勤務なら、デスクの引き出しにアイマスクを常備しておくことで、昼寝への心理的ハードルも下がります。
ノイズキャンセリングと環境音の活用
在宅勤務では予測できない生活音が発生します。家族の足音、外の車の音、宅配便のチャイムなど、職場とは異なる音環境が昼寝を妨げる要因になります。完全な静寂を求めるなら、ノイズキャンセリング機能付きイヤホンやヘッドホンが有効です。
ただし完全な無音が逆に気になる人もいます。その場合は、ホワイトノイズや自然音(雨音、波音など)を小さな音量で流すと入眠しやすくなるでしょう。これらの環境音は脳が「意味のある情報」として処理しないため、周囲の雑音をマスキングしながらリラックス効果をもたらすとされています。
リモートワークなら、自分の好みに合わせて音環境を調整できます。最初は複数の環境音を試し、15分で自然に眠れるものを見つけてください。音楽配信サービスやアプリの睡眠用プレイリストを活用すれば、毎回同じ音環境を再現できます。音の習慣化は、脳に「この音=昼寝の時間」という条件反射を作り、入眠スピードを早める効果も期待できます。
快適な室温設定を心がける
体温と睡眠には密接な関係があります。入眠時には深部体温が下がる必要があり、室温が高すぎると体温調節がうまくいかず、寝つきが悪くなる場合があります。一般的に、睡眠に適した室温は18〜22度程度とされています※6。
リモートワークなら、エアコンやサーキュレーターを使って昼寝の前に部屋を適温に調整できます。冬場は暖房をつけたまま昼寝すると暑すぎて目覚めてしまうため、タイマー機能を使って15分後に切れるよう設定するのも有効でしょう。
夏場は逆に、冷房で体が冷えすぎないよう注意が必要です。薄手のブランケットを一枚用意しておくと、体温調節がしやすくなります。在宅勤務という環境では、温度管理も含めて昼寝を最適化できるため、職場では得られない質の高い休息が実現します。15〜20分の短時間でも、温度が適切なら深い休息感が得られるでしょう。
まとめ
リモートワーク中の昼寝は、15〜20分という短時間を守ることで午後のパフォーマンスを大きく向上させます。20分を超えると深い睡眠に入り、目覚めたときの倦怠感が作業効率を下げてしまうため、必ずタイマーをセットしてください。
実践のポイントは、入眠前のコーヒー摂取、座ったままの姿勢、振動アラームの活用です。さらに在宅勤務の環境を活かし、遮光・静音・適温を整えることで、短時間でも深い休息が得られます。
12時〜15時の間に昼寝を取り入れ、夜の睡眠を妨げないリズムを作ることが長期的な生産性向上につながります。職場ではできなかった自分専用の昼寝環境を、リモートワークで実現していきましょう。
出典・参考文献
※1 睡眠慣性(Sleep Inertia)に関する研究
Tassi P, Muzet A. “Sleep inertia.” Sleep Med Rev. 2000;4(4):341-353.
※2 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001180986.pdf
※3 短時間仮眠の効果に関する研究
Brooks A, Lack L. “A brief afternoon nap following nocturnal sleep restriction: which nap duration is most recuperative?” Sleep. 2006;29(6):831-840.
Lovato N, Lack L. “The effects of napping on cognitive functioning.” Prog Brain Res. 2010;185:155-166.
※4 アフタヌーンディップ(午後の眠気)
厚生労働省 e-ヘルスネット「体内時計」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-004.html
※5 コーヒーナップに関する研究
Hayashi M, Masuda A, Hori T. “The alerting effects of caffeine, bright light and face washing after a short daytime nap.” Clin Neurophysiol. 2003;114(12):2268-2278.
※6 睡眠と室温の関係
厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-003.html

