多くの営業マンがChatGPTやGeminiを「文章の整形」にしか使っていない。だが本質はそこではない。AIの真価は、あなたの営業経験と顧客情報を掛け合わせ、決裁者が首を縦に振らざるを得ないロジックを構築することにある。
この記事の要約
・構成案の作成時間を80%削減
・決裁者が最も気にする「投資対効果(ROI)」と「リスク管理」の言語化
・商談相手に「そこまで考えてくれたのか」と言わせる、キラークエスチョンの生成
なぜ、あなたの提案書は「検討します」で止まってしまうのか?
多くの営業マンは「製品の良さ」を書く。
- 「業界No.1のシェア」
- 「導入実績500社」
- 「操作性が抜群」
だが、決裁者が最も恐れているのは「失敗した時の責任」だ。
稟議を通す担当者は、社内会議で役員にこう問われる。
「これ、本当にうまくいくのか?」
「導入後、現場が混乱したらどうする?」
「競合のA社じゃダメなのか?」
あなたの提案書が「検討します」で止まるのは、担当者がこの質問に答えられないからだ。
法人向け提案書で用いるB2Bの心理学
B2B営業の本質は、担当者に「社内会議で使える武器」を渡すことである。
彼らが求めているのは、製品カタログではない。
「役員を説得できるロジック」と「失敗リスクへの回答」だ。
法人向け提案書におけるAIの役割
AIは、あなたの営業知識を顧客の社内事情に最適化された「勝てるシナリオ」へ変換する。
商談で得た断片的な情報——
「物流コストが上がっている」「現場の高齢化が進んでいる」「競合はB社を検討中」
これらをAIに投げ込めば、決裁者が納得する「ストーリー」が立ち上がる。
【即実践】提案書の精度を劇的に上げる「魔法のプロンプト」レシピ
ここからは具体論だ。
特定の高価なツールは不要。ChatGPTやGeminiに、そのままコピペして使えるプロンプトを紹介する。
1. 顧客の「痛みの言語化」プロンプト
目的
表面的な課題ではなく、顧客が言語化できていない「真の痛み」を炙り出す。
プロンプト例
あなたは年商100億円の製造業の役員です。
現在、以下の状況に直面しています。
- 物流コストが前年比15%増加
- 現場作業員の平均年齢58歳、若手採用難
- 競合他社が自動化システムを導入し始めている
私たちが提案する「*商材名*」の導入において、
あなたが抱える懸念点を5つ挙げてください。
それぞれの懸念に対し、どのような情報があれば
意思決定しやすくなるかも教えてください。
なぜこれが効くのか
このプロンプトで得られた「懸念点」を、提案書のFAQ(よくある質問)やリスク管理セクションに盛り込む。
「御社が気にされるであろう点について、先回りして回答しました」
——この姿勢が、担当者に「この営業、分かってる」と思わせる。
2. 決裁者を納得させる「ROI(投資対効果)」算出プロンプト
目的
定性的なメリット(「業務が楽になる」)を、定量的な数字(時間、コスト、リスク削減額)に変換する。
プロンプト例
以下の条件で、投資対効果(ROI)を算出し、
3年間の投資回収シミュレーションを作成してください。
【前提条件】
- 製品価格:初期費用300万円、月額30万円
- 現場の工数削減効果:月20時間/人(対象10名)
- 従業員の平均時給:3,000円
- 在庫ロス削減効果:年間100万円相当
【求める内容】
1. 年間削減コストの総額
2. 投資回収期間(何ヶ月で元が取れるか)
3. 3年間の累積利益
4. この数字を役員会で説明する際の
「一言で伝わるキャッチコピー」
なぜこれが効くのか
決裁者は「感覚」では動かない。「この投資は2年で回収でき、3年目からは年間400万円の利益を生む」——この一文があるだけで、稟議の通過率は劇的に上がる。
3. 「NO」を潰す、反論処理(FAQ)生成プロンプト
目的
提案書に盛り込むべき、想定質問への回答案を作成し、商談後の社内検討で出る反対意見を事前に封じる。
プロンプト例
私は製造業向けに「XX在庫管理システム」を提案しています。
以下の提案内容に対し、決裁者や現場責任者が
抱きそうな反対意見・懸念点を10個挙げてください。
【提案内容】
- クラウド型在庫管理システムの導入
- 導入期間:3ヶ月
- 既存システムからのデータ移行あり
- 現場スタッフへのトレーニング必須
そして、それぞれの懸念に対する
「ロジカルで納得感のある回答案」も作成してください。
なぜこれが効くのか
提案書の最後に「よくあるご質問」セクションを設ける。
ここに10個の懸念と回答を載せておけば、担当者は社内会議で「その点については提案書のP.12に回答があります」と即答できる。
あなたがいない場所でも、提案書が営業してくれる状態を作る。
AI×営業マン:泥臭い現場情報を「スマートな戦略」に変える3ステップ
Step 1:インプットの質にこだわる
AIの回答精度は、あなたが何を入力するかで決まる。
商談中、こんな場面はないか?
- 役員が「うーん」と唸った瞬間
- 担当者が「実は上司がこう言ってまして…」とボソッと漏らした一言
- 競合他社の資料を見た時の、微妙な表情の変化
これらの「一次情報」をメモし、AIに投げ込め。
例:
商談中、先方の役員が「導入後のサポート体制」について
3回質問してきた。現場責任者は「操作の簡単さ」よりも
「トラブル時の対応速度」を重視している様子。
この情報を踏まえ、提案書でどこを強調すべきか教えて。
AIはカタログスペックしか知らない。現場の空気感を知っているのは、あなただけだ。
Step 2:AIに「批判的思考」をさせる
提案書を書き終えたら、AIにこう問え。
この提案書の弱点はどこですか?
競合他社(B社)ならどこを突いてきますか?
自分では気づかなかった「穴」が見える。
さらに、こう続ける。
その弱点を補強するために、
提案書に追加すべき情報は何ですか?
AIを「敵の軍師」として使う——この発想が、提案の完成度を一段上げる。
Step 3:最後は「感情」のスパイスを加える
ロジックはAIに任せていい。
だが、提案書の最後の一押し——「なぜ、この提案にかける思いがあるのか」は、あなたの言葉で書け。
例:
「私自身、前職で在庫管理の混乱に悩まされた経験があります。だからこそ、御社の現場が抱える課題を『他人事』として見ることができません。導入後も、現場の声を拾いながら一緒に改善していく覚悟です。」
AIが生成した完璧なロジックに、あなたの「覚悟」を一行だけ添える。
それが、決裁者の心を動かす。
【注意点】AIを使いこなす「スマートな営業」が守るべき一線
個人情報・機密情報の扱い
ChatGPTやGeminiに顧客名や具体的な数値を入力するのは危険だ。
変数に置き換えるリテラシーを持て。
| NG | OK |
|---|---|
| 「A社(年商50億)の田中部長が…」 | 「年商50億の製造業B社の購買責任者が…」 |
| 「現在の発注額は月200万円」 | 「現在の発注額は月XX万円」 |
AIはあくまで「思考の補助」。最終的な責任は、あなたが持つ。
丸投げの罠
AIが出した回答を「自分の言葉」で語れないなら、商談の空気感で即座に見抜かれる。
決裁者はこう思う。
「この営業、自分で考えてないな」
AIはロジックを組み立てる。
だが、それを咀嚼し、自分の営業スタイルに落とし込むのは、あなたの仕事だ。
まとめ:AIを武器にするか、AIに仕事を奪われるか
提案書作成は、もはや「作業」ではない。
「戦略構築」の時間だ。
AIを使えば、2時間かかっていた提案書作成が30分で終わる。
AIを武器として、あなたは新たな仕事を開拓しよう。
あなたのネクストアクション
①今日、ChatGPTを開く
②次の商談後、5分だけメモを取る
③提案書に「FAQ」セクションを追加する

