マルチタスクのデメリット5選|脳科学で判明した非効率な理由とシングルタスクへの切り替え方

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「効率的に仕事を進めたい」と思い、複数のタスクを同時にこなしていませんか?実は、マルチタスクは脳科学的に最も非効率な働き方であり、生産性や創造性を大きく低下させることが明らかになっています。

本記事では、マルチタスクが引き起こす5つの具体的なデメリット、脳科学から見た非効率性の理由、そして今日から実践できるシングルタスクへの切り替え方法を解説します。

この記事の要約
・マルチタスクは脳科学的に非効率
・仕事の質を落とす5つの深刻なデメリット
・シングルタスクへの具体的切り替え方法

目次

なぜマルチタスクは非効率なのか?脳科学から見る3つの理由

マルチタスクは一見すると効率的に見えますが、実は脳の構造上、生産性を大きく下げる働き方です。ここでは、脳科学の知見に基づき、マルチタスクが非効率である理由を3つ解説します。

1. 「スイッチングコスト」によるエネルギー浪費

人間の脳は、異なるタスク間を切り替えるたびに「スイッチングコスト」と呼ばれる認知的なロス**が発生します。これは、タスクAからタスクBへ移るとき、脳が前の作業の文脈を一度リセットし、新しい作業の文脈を再構築する必要があるためです。

米国心理学会(APA)の研究によれば、タスクを切り替えるたびに最大で40%もの生産性が失われる可能性があります。たとえば、資料作成中にメールチェックへ移行すると、その都度、脳は「どこまで書いたか」「次に何を書くべきか」といった情報を再読み込みしなければなりません。

営業職の男性が顧客への提案資料を作りながら、同時に上司からのチャットに返信し、さらに電話対応もこなす場合、一つひとつの切り替えで脳のエネルギーが消耗します。結果として、本来30分で終わる作業が1時間以上かかることも珍しくありません。

2. 作業メモリ(ワーキングメモリ)の容量オーバー

ワーキングメモリとは、短期間に情報を保持し、処理する脳の機能です。この容量は限られており、一般的に同時に保持できる情報は3〜5項目程度とされています。

マルチタスクを行うと、複数のタスクに関する情報がワーキングメモリに同時に流れ込み、すぐに容量オーバーになります。すると、どのタスクに関する情報も中途半端にしか保持できず、ミスや漏れが発生しやすくなります。

エンジニアがコードレビューをしながら、別のプロジェクトの設計書を読み、同時にSlackの質問に答えようとすると、すべてのタスクで必要な情報が脳内で混在します。その結果、重要な仕様を見落としたり、チャットで誤った回答をしてしまったりするリスクが高まります。

3. 集中力を司るドーパミンの異常分泌

マルチタスクは、脳内でドーパミンの過剰分泌を引き起こします。ドーパミンは本来、目標達成や報酬に対して分泌される神経伝達物質ですが、タスクを次々と切り替えることで「新しいことに取り組んでいる」という刺激が繰り返され、ドーパミンが不規則に放出されます。

この状態が続くと、脳は「タスクを完了すること」よりも「タスクを切り替えること」自体に快感を覚えるようになり、本質的な集中力が低下します。スタンフォード大学の研究では、マルチタスクを習慣化した人は、単一タスクへの集中力が著しく衰えることが報告されています。

プロジェクトマネージャーが会議資料の作成中に、新着メール通知、チャットの返信、SNSのチェックなど複数の刺激に反応し続けると、脳は「新しい情報への反応」に依存するようになります。結果として、一つのタスクに腰を据えて取り組むことが苦痛に感じられ、常に注意散漫な状態に陥ります。


【仕事の質を落とす】マルチタスクが引き起こす具体的な5つのデメリット

マルチタスクは脳のメカニズム上非効率なだけでなく、仕事の質そのものを低下させる深刻なデメリットをもたらします。ここでは、ビジネスシーンで実際に起こりうる5つの弊害を紹介します。

1. 致命的なミスが増える「単純な集中力の分散」

複数の作業を同時進行すると、どのタスクにも十分な注意が向けられず、単純ミスや見落としが急増します。特に数字を扱う業務や契約書のチェックなど、正確性が求められる作業では致命的です。

ハーバード・ビジネス・レビューの調査によれば、マルチタスク状態ではエラー率が最大50%増加するとの報告があります。これは、脳が各タスクに対して中途半端な処理しか行えないためです。

経理担当者が月次決算の数値入力をしながら、同時に社内チャットで経費精算の質問に答えていたとします。その結果、入力すべき金額を一桁間違えたり、勘定科目を誤って選択したりするミスが発生します。こうしたミスは後の修正作業で大きな時間ロスを生み、場合によっては会社全体の信頼を損ねることにもつながります。

2. 一つあたりの完了時間が延びる「生産性の低下」

マルチタスクでは、各タスクの完了までにかかる時間が単独で取り組む場合と比べて大幅に延びますこれは先述のスイッチングコストに加え、各タスクへの集中が途切れることで作業の質とスピードが低下するためです。

カリフォルニア大学の研究では、一度集中を中断されると、元の集中状態に戻るまで平均23分かかることが明らかになっています。つまり、頻繁にタスクを切り替えるほど、純粋な作業時間は減少していきます。

営業資料の作成に本来1時間かかる作業を、途中で3回メールチェックや電話対応を挟むと、実際には2時間以上かかることがあります。これは、中断のたびに「どこまで進めたか」を思い出し、再び資料作成のモードに入る時間が必要だからです。結果として、一日の終わりに「忙しかったのに何も終わっていない」という状態に陥ります。

3. アイデアが生まれにくい「創造性の低下」

深い思考や創造的なアイデアは、一つのテーマに長時間没頭することで生まれます。マルチタスクは常に思考が分断されるため、この「深く考える」プロセスが成立しません。

MITメディアラボの研究によれば、創造的な問題解決には少なくとも90分以上の連続した集中時間が必要とされています。マルチタスク環境では、この条件を満たすことはほぼ不可能です。

マーケティング担当者が新しいキャンペーン企画を考える際、SNS運用や問い合わせ対応を同時にこなしていると、表面的なアイデアしか出てきません。一方、2時間外部からの連絡を遮断して企画だけに集中すれば、競合にはない独自の切り口や、ターゲットの心に刺さる訴求が生まれる可能性が高まります。創造性はマルチタスクの最大の犠牲者といえます。

4. 優先順位を見誤る「判断力の鈍化」

複数のタスクに同時に注意を向けていると、本当に重要な仕事とそうでない仕事の区別がつきにくくなります緊急度の高い案件よりも、目の前の簡単なタスクに飛びついてしまうことが増えます。

心理学者のダニエル・カーネマンは、人間の脳には「速い思考」と「遅い思考」があり、マルチタスク状態では直感的で安易な判断に偏りやすくなると指摘しています。

プロジェクトリーダーが複数の案件を抱えている場合、クライアントからの急ぎでない問い合わせに即座に対応する一方で、週末締切の重要な提案書作成を後回しにしてしまうことがあります。これは、メール返信という「すぐに終わる作業」の方が脳にとって楽であり、達成感も得やすいためです。結果、納期直前で慌てることになり、提案の質も下がります。

5. 慢性的な疲労・ストレスによる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」

マルチタスクは脳に過度な負荷をかけ続けるため、慢性的な疲労感やストレスの原因となります。この状態が長期間続くと、仕事へのモチベーション低下や心身の不調を招き、最終的にはバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥るリスクがあります。

世界保健機関(WHO)は、バーンアウトを「職業上のストレスがうまく管理されていない結果生じる症候群」と定義しており、その主要因の一つに過度な業務負荷が挙げられています。

働き盛りの30代男性が、日中は複数のプロジェクトを同時進行し、帰宅後も家事や育児をこなしながらメールチェックを続けているとします。こうした生活が数ヶ月続くと、常に頭が重く、休日も疲れが取れない状態になります。やがて「何をやっても意味がない」という無力感に襲われ、仕事のパフォーマンスが著しく低下します。これは単なる疲労ではなく、脳が慢性的なオーバーワークから回復できなくなっている状態です。


【シーン別】マルチタスクの悪影響が顕著な具体的な事例

マルチタスクのデメリットは、日常のビジネスシーンや家庭生活のあらゆる場面で顕在化します。ここでは、働く男性が陥りやすい典型的な3つのシーンを取り上げ、具体的にどのような弊害が生じるのかを解説します。

会議中にメールチェックをする行動の弊害

オンライン会議が増えた現代では、会議中にこっそりメールをチェックする行動が一般化しています。しかし、これは会議の内容を理解できないだけでなく、周囲からの信頼も損ねる行為です。

ミシガン州立大学の研究によれば、会議中に別の作業をしている人は、議論の内容を正確に記憶している割合が30%以下に低下することが示されています。さらに、ウェブカメラ越しでも視線の動きや反応の遅れから、マルチタスクをしていることは相手に伝わります。

営業部門のマネージャーが、部下からの週次報告会議中にクライアントからのメールに返信していたとします。その結果、部下が報告した重要なトラブル情報を聞き逃し、後日クライアントから直接クレームが入って初めて事態を知ることになります。また、部下からは「この人は自分の話を聞いていない」と不信感を持たれ、チーム内のコミュニケーションが希薄化します。

複数のチャットツールを同時に監視するデスクワークの問題点

Slack、Microsoft Teams、LINEなど、複数のチャットツールを常時開いて監視する働き方は、現代のオフィスワーカーにとって当たり前になっています。しかし、これは最も集中力を奪うマルチタスクの典型例です。

カリフォルニア大学アーバイン校の調査では、デスクワーカーは平均して3分ごとに作業を中断していることが明らかになっています。この主な原因が、チャットやメールの通知です。

システムエンジニアがコードのバグ修正に取り組んでいる最中、Slackで3つのチャンネルから通知が入り、Teamsでは上司からの質問、LINEでは同僚からの昼食の誘いが届くとします。これらすべてに反応していると、バグの原因を論理的に追跡する思考プロセスが完全に途切れます。結果、本来30分で解決できる問題に2時間以上かかり、さらに修正漏れが発生して後日再修正が必要になることもあります。

育児や家事をしながら別の作業をこなすことのリスク

仕事と家庭を両立する男性にとって、帰宅後に育児や家事をしながら仕事のメールをチェックすることは珍しくありません。しかし、これは家族との時間の質を下げるだけでなく、どちらのタスクも中途半端になる典型的なマルチタスクです。

オーストラリアの家族研究所の報告では、親が「ながらスマホ」をしている時間が長いほど、子どもの情緒的な発達に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。また、大人自身も「家でも仕事をしている」という感覚から、十分な休息が取れません。

3歳の子どもと夕食を食べながら、スマホで重要なプロジェクトのメールに返信している父親がいるとします。子どもが「今日保育園でね」と話しかけても上の空で返事をし、メールの内容も集中できずに誤解を招く文面を送ってしまいます。さらに、妻からは「家にいても心ここにあらず」と不満を持たれ、夫婦関係にも亀裂が入ります。このように、マルチタスクは仕事の成果も家庭の幸福も同時に損なう危険な行為です。


マルチタスクの弊害を避ける!シングルタスクへの切り替え方法5選

マルチタスクのデメリットを理解したら、次はシングルタスクへの切り替えを実践しましょう。ここでは、忙しいビジネスパーソンでも今日から取り組める具体的な方法を5つ紹介します。

1. ポモドーロ・テクニックを活用した集中時間の設定

ポモドーロ・テクニックとは、25分間の集中作業と5分間の休憩を1セットとする時間管理術です。この手法を使えば、短時間でも高い集中力を維持でき、マルチタスクの誘惑を断ち切れます。

イタリアの起業家フランチェスコ・シリロが考案したこの技法は、世界中のビジネスパーソンに支持されています。25分という時間設定は、人間の集中力が自然に持続できる長さであり、かつ「この時間だけは他のことをしない」と決めやすい長さです。

営業資料の作成に取りかかる際、タイマーを25分にセットし、その間はメール・チャット・電話をすべて遮断します。25分後にアラームが鳴ったら5分間休憩し、コーヒーを飲んだり軽くストレッチをしたりします。これを4セット繰り返せば、実質100分の高密度な作業時間を確保でき、中断だらけの3時間よりも質の高い成果物が完成します。

2. タスクを細分化して「一つのことだけ」に集中する

大きなプロジェクトをそのまま進めようとすると、途中で関連する別の作業に目が向き、マルチタスクに陥りがちです。タスクを小さく分割し、一つずつ完了させる習慣をつけましょう。

脳科学的には、タスクを完了するたびに達成感が得られ、ドーパミンが適切に分泌されます。これにより、次のタスクへのモチベーションが自然に高まります。

「クライアント向け提案書の作成」という大きなタスクを、「①市場調査データの収集」「②競合分析のまとめ」「③提案内容の骨子作成」「④スライドのデザイン調整」といった具合に細分化します。そして、まず①だけに30分集中し、完了したらチェックマークをつけます。この「一つずつ終わらせる」体験が、シングルタスクを習慣化させる鍵です。

3. 通知を切るなど「邪魔が入らない環境」の徹底

どれだけシングルタスクを意識しても、外部からの通知や割り込みがある限り、集中は持続しません物理的に邪魔が入らない環境を整えることが最優先です。

マイクロソフトの調査によれば、通知を完全にオフにした状態で作業すると、生産性が最大40%向上することが報告されています。

重要な企画書を作成する2時間は、スマホを別の部屋に置き、PCのメール通知・Slack・Teamsをすべて終了します。さらに、周囲に「今から2時間は緊急時以外話しかけないでほしい」と伝え、可能であれば会議室や静かなカフェに移動します。こうした環境設定により、脳は「今は一つのことだけに集中してよい」と認識し、深い集中状態(フロー状態)に入りやすくなります。

4. 優先度の低いタスクは「まとめて処理する時間」を設ける

メールやチャットへの返信、経費精算など、緊急ではないがやらなければならない細かいタスクは、一日の中で「まとめて処理する時間枠」を設定しましょう。

これにより、重要な作業中にこれらの小タスクに気を取られることがなくなります。また、まとめて処理することで、それぞれのタスクにかかるスイッチングコストも削減できます。

毎日14時から14時30分を「雑務処理タイム」と決め、その時間にメール返信、経費申請、資料の整理などをまとめて行います。それ以外の時間はメールボックスを開かず、「返信は14時にまとめて行います」という署名を設定しておきます。こうすることで、午前中や夕方の集中すべき時間を守りつつ、必要な対応も漏らさずに済みます。

5. 「To Doリスト」を物理的に見える化して完了させる習慣

デジタルツールも便利ですが、紙のTo Doリストを使って物理的にタスクを管理することで、シングルタスクへの意識が高まります。完了したタスクに線を引く行為は、脳に達成感を与え、次のタスクへの集中を促します。

ハーバード・ビジネス・スクールの研究では、手書きでタスクを管理している人の方が、デジタルツールのみの人よりも完了率が高いことが示されています。これは、物理的に書く・見る・消すという行為が、脳により強く記憶されるためです。

朝の始業時に、その日やるべきタスクを付箋やノートに書き出し、デスクの目に入る場所に貼ります。タスクは優先順位順に並べ、一つ終わったら線を引いてから次に進むというルールを徹底します。この「一つずつ消していく」プロセスが、マルチタスクへの誘惑を断ち、シングルタスクを自然な習慣にしていきます。


まとめ:マルチタスクのデメリットを理解し、最高のパフォーマンスを目指す

マルチタスクは一見効率的に見えますが、脳科学的には生産性・創造性・判断力のすべてを低下させる非効率な働き方です。スイッチングコストによるエネルギー浪費、ワーキングメモリの容量オーバー、ドーパミンの異常分泌といった脳のメカニズムが、マルチタスクの弊害を引き起こします。

具体的には、ミスの増加、作業時間の延長、アイデアの枯渇、優先順位の誤り、そして燃え尽き症候群といった深刻なデメリットが仕事の質を落とします。会議中のメールチェック、複数チャットツールの監視、家事をしながらの仕事など、日常のあらゆるシーンでマルチタスクの罠は潜んでいます。

しかし、ポモドーロ・テクニック、タスクの細分化、通知の遮断、雑務のまとめ処理、物理的なTo Doリスト管理といった具体的な方法を実践すれば、シングルタスクへの切り替えは可能です。

仕事のパフォーマンスを最大化し、持続可能な働き方を実現するために、今日からマルチタスクをやめ、一つのことに集中する習慣を身につけましょう。その先に、質の高い成果と充実したワークライフバランスが待っています。

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この記事を書いた人

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