寝つきはいいのに夜中に起きる…仕事ストレスが引き起こす中途覚醒

睡眠

寝つくまでは問題ないのに、夜中や明け方に何度も目が覚めてしまう——。
このような「中途覚醒」は、年齢や体質だけでなく、仕事によるストレスが深く関係しているケースも少なくありません。
本記事では、中途覚醒が起こる仕組みをはじめ、仕事ストレスとの関係性、セルフチェック方法、そして今日から実践できる改善策までを分かりやすく解説します。

このコラムのポイント

  • 夜中に目が覚める原因は、仕事ストレスによる自律神経の乱れが関係していることが多い
  • 中途覚醒を放置すると、日中の集中力低下や慢性的な疲労につながる可能性がある
  • 生活習慣やストレス対処を見直すことで、薬に頼らず改善できるケースもある

① 中途覚醒とは?

中途覚醒とは、一度眠りについた後、夜中に何度も目が覚めてしまう状態を指します。
目が覚めたあと再び眠れる場合もありますが、覚醒の回数が増えるほど、睡眠の質は低下していきます。

一般的には、夜間に2回以上目が覚める状態が続く場合、中途覚醒の可能性があると考えられます。


中途覚醒は「寝不足」ではない

中途覚醒の特徴は、睡眠時間が確保できていても、疲れが取れない点にあります。

  • 7時間以上寝ているのに眠い
  • 朝起きた瞬間からだるさがある
  • 日中の集中力が続かない

こうした状態は、「単なる寝不足」ではなく、眠りが途中で分断されていることが原因になっているケースがあります。


他の不眠症状との違い

不眠にはいくつかのタイプがありますが、中途覚醒は次のように分類されます。

  • 入眠障害:布団に入ってもなかなか眠れない
  • 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
  • 早朝覚醒:朝早く目が覚め、その後眠れない

中途覚醒は、寝つきには問題がない人にも起こりやすいのが特徴で、
特にストレスや生活習慣の影響を受けやすいとされています。


男性に多い中途覚醒の傾向

男性の場合、次のような傾向が見られることがあります。

  • 仕事のプレッシャーを抱えたまま眠りについている
  • 休んでいるつもりでも頭が休まっていない
  • 「眠れているから問題ない」と不調を見過ごしやすい

その結果、自覚のないストレスが蓄積し、中途覚醒として表れるケースも少なくありません。

② 中途覚醒の主な原因

中途覚醒は、ひとつの原因だけで起こるものではなく、複数の要因が重なって発生するケースがほとんどです。
まずは、夜中に目が覚めてしまう主な原因を整理しておきましょう。


中途覚醒の代表的な原因

中途覚醒の原因として、一般的に次のようなものが挙げられます。

  • ストレス
  • 加齢による睡眠の変化
  • 生活習慣の乱れ(飲酒・カフェイン・夜更かし)
  • 睡眠環境の問題(音・光・室温)
  • 病気や体調不良(睡眠時無呼吸症候群など)

この中でも、年代や性別を問わず多くの人に当てはまりやすいのが「ストレス」です。


なぜストレスが原因として注目されるのか

ストレスは目に見えにくく、自分では「そこまで強いストレスではない」と感じていても、
身体は確実に影響を受けています。

特に男性の場合、

  • 仕事上の責任や成果へのプレッシャー
  • 長時間労働や不規則な生活
  • 休んでいるつもりでも頭が休まっていない

といった状態が続きやすく、自覚のないままストレスを溜め込んでいるケースも少なくありません。

その結果、寝つきは問題なくても、夜中に目が覚める「中途覚醒」という形で表れやすくなります。


「年齢のせい」「疲れているだけ」と決めつけてしまうと、
本当の原因に気づけず、対策も後回しになりがちです。

次の章では、なぜストレスが中途覚醒を引き起こすのかを、
自律神経や睡眠の仕組みから詳しく解説していきます。

③ なぜストレスで中途覚醒が起こるのか

ストレスが原因で中途覚醒が起こる背景には、自律神経の乱れが大きく関係しています。
一見、眠れているようでも、身体は十分に休めていない状態になっていることがあります。


ストレスが自律神経に与える影響

自律神経には、

  • 交感神経:活動・緊張の神経
  • 副交感神経:休息・回復の神経

の2つがあり、睡眠中は本来、副交感神経が優位になります。

しかし、強いストレスや慢性的なストレスが続くと、
寝ている間も交感神経が働きやすくなり、脳や身体が「警戒状態」のまま眠っている状態になります。


なぜ「夜中」に目が覚めやすくなるのか

睡眠は一晩の中で、浅い眠りと深い眠りを周期的に繰り返す仕組みになっています。
特に、夜中から明け方にかけては浅い眠りの時間帯が増えるため、
ストレスの影響を受けていると、ちょっとした刺激でも目が覚めやすくなります。

ストレスが強い状態では、

  • 交感神経が優位になる
  • ストレスホルモン(コルチゾール)が分泌される
  • 心拍数や脳の活動が上がる

といった反応が起こり、そのタイミングで覚醒が起きやすくなるのです。


「考え事」で目が覚めるケースも多い

中途覚醒の中でも多いのが、夜中に目が覚めた瞬間、仕事や不安ごとを考え始めてしまうケースです。

特に男性の場合、

  • 仕事の進捗や数字のこと
  • 明日の予定やトラブル対応
  • 頭の中での反省やシミュレーション

など、無意識に思考が動き出してしまうことがあります。

この状態では、身体は横になっていても、脳は完全に起きてしまい、
再び眠りに戻るまでに時間がかかってしまいます。


ストレス性中途覚醒の特徴

ストレスが原因の場合、次のような特徴が見られやすくなります。

  • 寝つきは比較的良い
  • 決まった時間帯に目が覚めることが多い
  • 夢が多い、または内容を覚えている
  • 朝起きても疲れが残っている

これらに心当たりがある場合、中途覚醒の背景にストレスが関係している可能性が高いと考えられます。

④ 中途覚醒を引き起こしやすいストレスの種類

ストレスと一言で言っても、その内容はさまざまです。
中途覚醒の場合、特定の種類のストレスが重なることで起こりやすくなる傾向があります。

ここでは、中途覚醒につながりやすいストレスを3つのタイプに分けて解説します。


精神的ストレス(考えすぎ・プレッシャー)

精神的ストレスは、中途覚醒の原因として最も多く見られます。

  • 仕事の責任や成果へのプレッシャー
  • 人間関係の悩み
  • 将来への不安や焦り

これらのストレスは、寝ている間も脳を休ませにくくします。

特に男性の場合、
「問題を頭の中で整理しようとする」「解決策を考え続ける」傾向があり、
夜中に目が覚めた瞬間、思考が一気に動き出してしまうことがあります。


身体的ストレス(疲労・緊張の蓄積)

身体の疲れも、中途覚醒を引き起こす大きな要因です。

  • 長時間のデスクワークによる肩や首の緊張
  • 慢性的な運動不足
  • 逆に、強すぎる運動や過労

一見、疲れていればよく眠れそうに思えますが、
疲労が蓄積しすぎると、睡眠中も身体が緊張状態から抜けにくくなります。

その結果、夜中にふと目が覚める状態が続くことがあります。


生活リズムの乱れによるストレス

日常の生活習慣も、知らず知らずのうちにストレスとなり、中途覚醒に影響します。

  • 寝る直前までスマホやPCを見る
  • 夜遅い食事や飲酒の習慣
  • 平日と休日で睡眠時間が大きくずれる

特に仕事が忙しい男性ほど、
「夜しか自分の時間が取れない」「つい夜更かししてしまう」
といった生活になりやすく、睡眠のリズムが乱れがちです。

⑤ ストレスが原因かを見極めるセルフチェック

中途覚醒が起きているとき、
「自分の場合はストレスが原因なのか?」と判断するのは簡単ではありません。

そこで、ストレス性中途覚醒の可能性を確認するためのセルフチェックを用意しました。
当てはまる項目が多いほど、ストレスが影響している可能性が高いと考えられます。


セルフチェックリスト

以下の項目について、直近1〜2週間を振り返ってみてください。

  • 夜中に決まった時間帯に目が覚めることが多い
  • 目が覚めた瞬間から、仕事や考え事が頭に浮かぶ
  • 寝つきは悪くないが、眠りが浅いと感じる
  • 夢を見る回数が多く、内容を覚えていることが多い
  • 朝起きたときに、疲れが残っている
  • 日中、イライラしやすい・集中力が続かない
  • 休日でも気が休まらない感覚がある
  • 「自分はそこまでストレスを感じていない」と思っている

チェック結果の目安

  • 0〜2個:ストレス以外の要因が関係している可能性
  • 3〜5個:ストレスが中途覚醒に影響している可能性あり
  • 6個以上:ストレスが主な原因となっている可能性が高い

※あくまで目安であり、診断ではありません。


男性が見落としやすいポイント

男性の場合、
「眠れているから問題ない」「忙しいのは当たり前」と考え、
睡眠の不調やストレスを軽視しやすい傾向があります。

しかし、セルフチェックで複数当てはまる場合は、
中途覚醒が身体からのサインである可能性も考えられます。


⑥ 中途覚醒を改善するストレス対策

ストレスが原因の中途覚醒は、
生活習慣や考え方を少し調整するだけでも、改善が期待できるケースがあります。

ここでは、無理なく続けやすい対策
「寝る前」「夜中に目が覚めたとき」「日中」の3つに分けて紹介します。


寝る前にできる対策

寝る前の過ごし方は、中途覚醒に大きく影響します。

  • 寝る直前までスマホやPCを見ない
  • 強い光を避け、部屋を少し暗めにする
  • 就寝前に深呼吸を数回行う

特に重要なのは、「頭を休ませる時間を作ること」です。

男性の場合、
「何もしない時間が苦手」「つい考え事をしてしまう」ことが多いため、
軽いストレッチやルーティン化した行動を取り入れると、切り替えやすくなります。


夜中に目が覚めたときの対処法

中途覚醒が起きたときにやってしまいがちなのが、
「時間を確認する」「スマホを見る」ことです。

目が覚めた場合は、

  • 時計を見ない
  • 無理に寝ようとしない
  • ゆっくりと呼吸に意識を向ける

ことを意識しましょう。

また、仕事や不安ごとが浮かんできた場合は、
「今は考えない」と切り替えるよりも、「明日考える」と決める方が効果的です。


日中にできるストレス対策

中途覚醒は、夜だけでなく日中の過ごし方にも影響されます。

  • 朝起きたら日光を浴びる
  • 軽い運動や散歩を取り入れる
  • カフェインの摂取は夕方以降控える

特にデスクワーク中心の男性は、
身体を動かす時間が少なく、緊張が抜けにくい状態になりがちです。

短時間でも構わないので、
意識的に身体を動かすことが、夜の眠りにつながります。


「頑張りすぎない」ことも対策のひとつ

睡眠改善のために、
あれもこれもやろうとすると、それ自体がストレスになることがあります。

  • 完璧を目指さない
  • できることから1つ試す
  • 効果が出るまで少し時間がかかると理解する

こうした考え方も、ストレス性中途覚醒を改善する重要な要素です。

⑦ それでも中途覚醒が改善しない場合は?

ストレス対策や生活習慣の見直しを行っても、
中途覚醒がなかなか改善しない場合、別の要因が関係している可能性も考えられます。

「我慢すれば何とかなる」と放置せず、
受診を検討した方がよいサインを知っておくことも大切です。


医療機関の受診を考えた方がよい目安

次のような状態が当てはまる場合は、
一度、医療機関への相談を検討してみましょう。

  • 中途覚醒が1か月以上続いている
  • 日中の眠気や集中力低下が強く、仕事や生活に支障が出ている
  • 夜中に何度も目が覚め、その後眠れない時間が長い
  • いびきが大きい、息苦しさを感じることがある

これらは、ストレス以外の原因や、
睡眠障害・体の不調が隠れているサインであることもあります。


考えられる主な病気・状態

中途覚醒の背景として、次のようなものが関係する場合があります。

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • うつ状態や強い不安
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 慢性的な痛みや体調不良

特に男性の場合、
「多少の不調は気合で乗り切る」「病院に行くほどではない」
と考えがちですが、睡眠の乱れは身体からの重要なサインです。


何科を受診すればいい?

中途覚醒の相談先としては、以下が一般的です。

  • かかりつけの内科
  • 心療内科・精神科
  • 睡眠外来(ある場合)

最初は「夜中に何度も目が覚める」「疲れが取れない」と
症状をそのまま伝えるだけで問題ありません。


受診=すぐに薬、ではない

受診というと、
「すぐに睡眠薬を出されるのでは」と不安に感じる人もいるかもしれません。

実際には、

  • 生活習慣の指導
  • ストレスへの対処方法
  • 原因に応じた段階的な対応

が行われることが多く、必ずしも薬に頼るわけではありません。

⑧ 中途覚醒とストレスに関するよくある質問

中途覚醒やストレスについては、
多くの人が同じような疑問を抱えています。
ここでは、特によくある質問をまとめました。


Q. ストレスが原因の中途覚醒は自然に治りますか?

軽度であれば、生活習慣の改善やストレスの軽減によって、
自然に改善するケースもあります。

ただし、ストレスが長期間続いている場合や、
中途覚醒が習慣化している場合は、
意識的な対策を行わないと改善しにくいこともあります。

Q. 夜中に何回起きたら中途覚醒と考えるべきですか?

一般的には、夜中に2回以上目が覚める状態が続く場合、
中途覚醒の可能性があると考えられます。

ただし、回数だけでなく、
・目が覚めた後に眠れるか
・日中に支障が出ているか
といった点も重要です。

Q. ストレスがあると、なぜ同じ時間に目が覚めるのですか?

睡眠には一定のリズムがあり、
ストレスによって浅い眠りが増えると、
特定のタイミングで覚醒しやすくなることがあります。

その結果、毎晩同じ時間帯に目が覚めるように感じることがあります。

Q. 睡眠薬を使った方がいいのでしょうか?

睡眠薬は、必要な場合に医師の判断で使われるものです。
自己判断での使用や、市販薬への依存はおすすめできません。

まずは、
・原因の把握
・生活習慣の見直し
・ストレス対策
を行い、それでも改善しない場合に、
医療機関へ相談するのが安心です。

Q. 男性は中途覚醒になりやすいのでしょうか?

中途覚醒自体は男女問わず起こりますが、
男性の場合、仕事や責任に関するストレスを抱え込みやすく、
自覚しないまま睡眠に影響が出るケースが見られます。

「眠れているつもり」でも不調が続く場合は、
一度立ち止まって見直してみることが大切です。

中途覚醒は、放置されやすい一方で、
ストレスや生活習慣を見直すことで改善が期待できる症状です。
「夜中に目が覚めるのは仕方ない」と思わず、
できることから少しずつ取り組んでみてください。

中途覚醒は、放置されやすい一方で、
ストレスや生活習慣を見直すことで改善が期待できる症状です。

「夜中に目が覚めるのは仕方ない」と思わず、
できることから少しずつ取り組んでみてください。

この記事を書いた人

MEN's Fitは、男性が自分の状態を正しく判断するための情報を届ける情報メディアです。
睡眠や加齢、仕事のストレスなどを整理し、いまの自分に必要な選択肢を考えるための視点を提供します。

MEN's Fit 編集部をフォローする