睡眠不足が仕事のパフォーマンスを落とす理由。すぐにできる対策も紹介

「昨夜あまり眠れなかった」「最近、疲れが抜けない」そんな状態で仕事をしていると、些細な判断に時間がかかったり、イライラが抑えられなかったりする経験はないでしょうか?睡眠不足は単なる眠気だけでなく、脳の認知機能そのものを低下させ、ビジネスパーソンとしてのパフォーマンスを大きく損なう恐れがあります。

この記事では、睡眠不足が仕事に与える具体的な影響と、今日から実践できる対処法、そして根本的に睡眠の質を高める方法を解説します。

この記事のまとめ

・睡眠不足は脳の前頭前野と海馬の機能を低下させ、意思決定スピード・集中力・感情コントロールに悪影響を与えます
・応急処置として15分の仮眠、カフェイン+日光浴、タスクの優先順位調整が有効ですが、根本的な解決にはなりません
・快眠習慣(ナイトルーティン・寝室環境の整備・規則正しい睡眠リズム)を整えることで、持続的に高いパフォーマンスを維持できます

目次

睡眠不足が仕事のパフォーマンスに与える影響とは

睡眠不足の状態で働くと、脳の前頭前野と海馬の活動が低下することが分かっています。前頭前野は判断・計画・感情制御を担い、海馬は記憶の定着に関わる領域です。厚生労働省の報告によれば、6時間未満の睡眠が続くと認知機能が著しく低下し、その状態は飲酒時に近いとされています※1会議での発言、資料作成、顧客対応といった日常業務のすべてに影響が及ぶ恐れがあります。

意思決定スピードと集中力が低下する

睡眠不足によって脳の情報処理速度が低下することが知られています。メールの返信に迷う時間が増えたり、会議中の議論についていけなくなったりするのは、脳が疲労して選択肢を比較検討する前頭前野の働きが鈍るためです。集中力の持続時間も短くなり、10分おきにスマートフォンを確認したり、別のタスクに気を取られたりする頻度が高まります。結果として、本来2時間で終わる作業に4時間かかるといった非効率が生じることもあるでしょう。

感情コントロールが困難になる

睡眠不足は扁桃体の活動を活発化させ、前頭前野による抑制機能を弱めることが研究で示されています※2些細な指摘にイライラしたり、同僚への返答が攻撃的になったりするのはこのためです。冷静に対処すべき場面で感情的な判断を下してしまい、後から後悔する事態も増えるかもしれません。慢性的な睡眠不足は不安やストレスへの耐性を下げ、プレッシャーのかかる局面でのパフォーマンスをさらに悪化させる可能性があります。

論理的思考やクリエイティビティが欠如する

論理的な問題解決には、情報を整理し因果関係を見抜く能力が求められます。睡眠不足状態では、この能力を支える前頭前野の働きが低下し、複雑な課題への対処が困難になることがあります。また、創造的なアイデアは異なる情報を結びつける過程で生まれますが、睡眠中に行われる記憶の統合作業が不足すると、発想の柔軟性も失われがちです。企画書の質が落ちたり、新しい提案ができなくなったりする背景には、この脳機能の低下があると考えられています。

睡眠不足でも仕事のパフォーマンスを維持するための応急処置3選

慢性的な睡眠不足は根本的に解決すべき問題ですが、急な案件や締め切り前には一時的な対処が必要になることもありますよね。ここで紹介する3つの方法を実施することで、数時間は集中力を維持しやすくなるでしょう。

15分のパワーナップ

昼休みや休憩時間に15分程度の仮眠をとると、脳の疲労が一時的にリセットされます。この短時間睡眠は深い眠りに入る前に覚醒するため、目覚め後のぼんやり感が少ないのが特徴です。NASAの研究では、26分の仮眠で覚醒度が34%向上したという報告もあります※3。仮眠前にコーヒーを飲んでおくと、カフェインが効き始めるタイミングと覚醒が重なり、よりスムーズに業務に戻れるでしょう。ただし、30分を超える仮眠は深い睡眠に入り、かえって眠気が残るため避けたいところです。

パワーナップやコーヒーナップについての記事もご参照ください。

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カフェイン摂取と日光浴の組み合わせ

カフェインは脳内の睡眠物質アデノシンの働きを阻害し、覚醒状態を維持することが知られています。コーヒーや緑茶を飲んだ後、窓際で5分程度日光を浴びると、体内時計をリセットする効果が加わります。日光は覚醒に関わるセロトニンの分泌を促し、眠気を抑える働きがあるためです※4。午後の眠気が強い時間帯には、この組み合わせが特に有効でしょう。ただし、カフェインの過剰摂取は夜の睡眠を妨げる恐れがあるため、午後3時以降の摂取は控えることをおすすめします。

タスクの優先順位を組み替える

睡眠不足の状態では、すべての業務を均等にこなすことは困難です。まず、その日に必ず完了すべき業務を1〜2つに絞りましょう。複雑な思考を要する作業は午前中に配置し、ルーチンワークや事務作業は午後に回すのが効果的です。脳の疲労が進むほど判断力は低下するため、重要な意思決定は先送りにせず早い時間帯に済ませることが大切です。メールの返信や資料整理といった単純作業は、集中力が切れた時間帯でも対応できます。

仕事のパフォーマンスを最大化する快眠習慣

前項で紹介した応急処置は一時的な対処に過ぎず、持続的なパフォーマンス向上には睡眠の質を根本から改善する必要があります。睡眠の質は寝る前の行動、寝室環境、生活リズムの3つの要素で決まると考えられています。これらを整えることで、同じ睡眠時間でも脳の回復度は大きく変わるでしょう。

脳を深く休ませるナイトルーティン

就寝1時間前からブルーライトを発するデバイスの使用を控えると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がスムーズになります※5スマートフォンやパソコンの画面は覚醒を促すため、代わりに紙の本を読んだり、軽いストレッチを行ったりするとよいでしょう。入浴は就寝90分前に済ませ、体温が下がるタイミングで布団に入ると入眠しやすくなります。寝る直前の食事やアルコールは睡眠の質を低下させることがあるため、夕食は就寝3時間前までに終えるのが理想です。

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寝具への投資や寝室環境の整備

人生の3分の1を過ごす寝具は、仕事道具と同じく投資対象として捉える価値があります。体圧分散性の高いマットレスや、頭部を適切に支える枕を選ぶと、睡眠中の身体的ストレスが減ることが期待できます。室温は18〜22度、湿度は50〜60%に保つと、深い睡眠が得られやすいとされています※6。遮光カーテンで外光を遮断し、耳栓やホワイトノイズで音の刺激を減らすことも有効です。寝室を睡眠専用の空間として使い、仕事や娯楽を持ち込まないことで、脳が「この場所=眠る場所」と認識するようになります。

休日と平日の睡眠リズムを一定に保つ

週末の寝だめは体内時計を乱し、月曜日の不調を招くことが知られています。平日と休日で起床時刻の差を1時間以内に抑えると、体内リズムが安定し、毎朝の目覚めが楽になるでしょう。起床後すぐに日光を浴びると、体内時計がリセットされ、夜の自然な眠気につながります※4

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規則正しい睡眠リズムは、睡眠時間そのものよりも重要な場合もあります。6時間睡眠でもリズムが整っていれば、不規則な7時間睡眠より高いパフォーマンスを発揮できることもあるのです。

ちょうどこの記事を書いている26年1月10日、X(旧Twitter)では「週末の寝だめが若者のうつ病リスクを4割低減させる」というオレゴン大学からの研究結果が話題になっています。常識とは真逆の結果が示唆されているのが非常にユニークだと感じます。

精神科医の樺沢紫苑先生が納得感のある解釈をポストされていました。

まとめ:睡眠不足を克服して、常に高いパフォーマンスを出せるビジネスマンへ

睡眠不足は判断力、集中力、感情制御のすべてを低下させ、ビジネスパーソンとしての能力を根本から損なう恐れがあります。応急処置として15分の仮眠やカフェインの活用は有効ですが、本質的な解決にはなりません。寝る前の習慣、寝室環境、生活リズムを整えることで、睡眠の質は大きく改善する可能性があります。毎日の睡眠を戦略的に管理すれば、疲労に振り回されず、自分の能力を最大限に発揮できる状態を維持しやすくなるでしょう。

出典・参考文献

※1 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
※2 Yoo SS, et al. “The human emotional brain without sleep–a prefrontal amygdala disconnect.” Current Biology, 2007
(睡眠不足が扁桃体と前頭前野の連携を阻害することを示した研究)
※3 NASA Technical Memorandum “Crew Factors in Flight Operations XI: A Survey of Fatigue Factors in Corporate/Executive Aviation Operations” 1995
https://ntrs.nasa.gov/citations/19960012281
※4 厚生労働省「体内時計を調節するホルモン、メラトニン」e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html
※5 厚生労働省「快眠と生活習慣」e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html
※6 厚生労働省「快適な睡眠のための環境づくり」健康づくりのための睡眠指針2014より

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この記事を書いた人

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